ボツリヌストキシン注射

筋肉の動きや汗の分泌を一時的に抑える

ボツリヌストキシン注射は、神経から筋肉や汗腺へ伝わる指令を一時的に抑える治療です。 筋肉の過度な収縮を弱めることで、表情じわ、エラの張り、肩の盛り上がり、ふくらはぎの筋肉の張り、ガミースマイルなどを整えます。 また、汗腺へ汗を出す指令が伝わりにくくなる作用を利用し、わき、手のひら、足の裏、額などの多汗症治療にも使用します。 ボツリヌストキシン製剤には、国内承認製剤であるボトックスビスタと、海外で製造された複数の製剤があります。製剤によって、国内での承認状況、製造元、価格などが異なります。 治療する部位、筋肉の発達、左右差、希望する効果を確認し、使用する製剤と注入量を決定します。

  • しわ抑制注射は、通常3日後から効果が表れます。
  • しわ抑制注射の持続期間は約4~6ヶ月です。
  • 洗顔やお化粧は治療直後から可能です。
  • 効果には個人差があります。
    治療後の効果が弱い場合は、2週間以内であれば無償で再注入を行います。

このような方におすすめ

  • 表情によってできるしわが気になる
  • エラの張りを目立ちにくくしたい
  • 歯ぎしりや食いしばりが気になる
  • 肩の筋肉の盛り上がりを整えたい
  • ふくらはぎの筋肉の張りを抑えたい
  • わき汗や手汗、足汗が多い
  • 笑ったときに歯ぐきが大きく見える
  • 切開せずに筋肉や汗の悩みを治療したい

ボツリヌストキシン製剤とは

ボツリヌストキシン製剤は、ボツリヌス菌が作り出すタンパク質を医療用に精製した薬剤です。 美容医療や保険診療のさまざまな分野で、筋肉の過度な緊張や汗の分泌を抑える目的で使用されています。 「ボトックス」という名称がボツリヌストキシン治療全般を指す言葉として使われることがありますが、ボトックスおよびボトックスビスタは製品名です。 そのため、正確には複数の製品を含む治療全体を「ボツリヌストキシン注射」と呼びます。

ボツリヌストキシンが作用する仕組み

筋肉を動かすとき、運動神経の末端からアセチルコリンという神経伝達物質が放出されます。 放出されたアセチルコリンが筋肉へ伝わることで、筋肉が収縮し、顔の表情や身体の動きが生まれます。 ボツリヌストキシン製剤を筋肉へ注入すると、神経終末からのアセチルコリンの放出が一時的に抑えられます。その結果、神経から筋肉へ収縮の指令が伝わりにくくなり、注入した筋肉の動きや緊張が弱まります。 筋肉や神経を切除する治療ではなく、時間の経過とともに神経伝達が回復し、筋肉の動きも徐々に戻ります。 注入した直後に筋肉が動かなくなるわけではありません。通常は治療後数日から作用が現れ始め、1~2週間ほどかけて効果が安定します。

ボツリヌストキシン注射の主な作用

筋肉の収縮を弱める

筋肉の過度な収縮を一時的に抑える作用です。

顔の表情じわ、ガミースマイル、口角、あごの梅干しじわ、首の筋肉の張りなどの治療に利用します。

筋肉を完全に動かなくすることが目的ではなく、必要な表情や動きを残しながら、過度な収縮を弱めます。

顔のしわの仕組み

発達した筋肉のボリュームを減らす

筋肉の働きが弱まると、その筋肉を使用する頻度が減り、時間の経過とともに筋肉のボリュームが小さくなることがあります。

この作用を利用して、咬筋によるエラの張り、僧帽筋による肩の盛り上がり、腓腹筋によるふくらはぎの張りを整えます。

筋肉のボリューム変化は、表情じわへの作用よりも時間がかかり、通常は数週間から数か月かけて徐々に現れます。

汗の分泌を抑える

汗腺は、交感神経から放出されるアセチルコリンの指令を受けて汗を分泌します。

ボツリヌストキシン製剤を皮膚の浅い層へ注入すると、汗腺へ伝わる神経の指令が一時的に弱まり、注入した範囲の発汗量が減少します。

この作用を利用して、わき、手のひら、足の裏、額、頭部などの多汗症を治療します。

ボツリヌストキシン注射で治療できるもの

表情じわ

額、眉間、目尻、鼻根、あごなど、表情筋の収縮によって生じるしわを治療します。

筋肉の動きを適度に抑えることで、表情を作ったときにできるしわを目立ちにくくします。

すでに表情を作っていないときにも深く刻まれているしわは、ボツリヌストキシン注射だけでは十分に改善しないことがあります。

しわ抑制注射適応部位

エラの張り・食いしばり

下あごの外側にある咬筋へ注入し、筋肉の働きを弱めます。

咬筋が発達している方では、時間をかけて筋肉のボリュームが小さくなり、下顔面がすっきり見えることがあります。

歯ぎしりや食いしばりによる筋肉の緊張が軽減する場合もあります。

ただし、骨格や皮下脂肪による顔の横幅を小さくする治療ではありません。

肩の盛り上がり

首から肩に広がる僧帽筋へ注入し、筋肉の過度な緊張を抑えます。

筋肉の発達が強い方では、肩の盛り上がりが目立ちにくくなり、首から肩にかけてのラインがなだらかに見えることがあります。

僧帽筋の緊張が肩の張りに関係している場合は、肩の重さが軽く感じられることもあります。

ふくらはぎの張り

ふくらはぎの腓腹筋へ注入し、筋肉の働きを一時的に弱めます。

つま先立ちをしたときに筋肉が大きく盛り上がる方では、時間をかけて筋肉のボリュームが小さくなり、脚のラインがすっきり見えることがあります。

脂肪やむくみが太さの主な原因である場合は、十分な変化が得られません。

多汗症

わき、手のひら、足の裏、額、頭部など、汗が気になる範囲へ細かく注入します。

汗腺へ汗を出す指令が伝わりにくくなることで、注入した範囲の発汗量を抑えます。

汗腺そのものを取り除く治療ではないため、時間の経過とともに発汗は徐々に戻ります。

ガミースマイル

笑ったときに上唇を持ち上げる筋肉の働きを弱め、歯ぐきが見える範囲を抑えます。

上唇の動きを弱めすぎると、笑いにくい、口元が長く見えるなどの変化が生じる可能性があるため、少量ずつ調整します。

骨格、歯並び、上あごの長さなどが主な原因の場合は、ボツリヌストキシン注射だけでは十分な変化が得られないことがあります。

口角

口角を下方向へ引く筋肉へ注入し、口角が下がって見える印象を整えます。

口角を直接持ち上げる治療ではありませんが、下へ引く力が弱まることで、口元の印象がやわらかく見えることがあります。

あごの梅干しじわ

あごにあるオトガイ筋の過度な収縮を抑え、あご表面にできる細かな凹凸を目立ちにくくします。

下あごが小さい方や、口を閉じるときにあごへ力が入りやすい方に適しています。

あごの形や後退が強い場合は、ヒアルロン酸注入を組み合わせることがあります。

小鼻・鼻根

鼻を動かす筋肉へ少量を注入し、小鼻の広がりや鼻根部にできる表情じわを抑えます。

注入位置や量によっては、笑ったときの鼻や上唇の動きに影響するため、慎重に調整します。

首・広頚筋

首の縦方向に目立つ広頚筋の筋張りや、下顔面を下方向へ引く力を抑えます。

首の縦じわやフェイスラインの軽い引き締めを目的として行います。

皮膚の余りや首の横じわを直接取り除く治療ではありません。

マイクロボトックス

通常の筋肉内注射より浅い層へ、少量のボツリヌストキシン製剤を細かく注入する方法です。

皮脂、毛穴、細かな表情じわ、肌表面の引き締めなどを目的として行います。

注入する深さや量によっては、周囲の表情筋へ作用し、笑いにくさや左右差が出る可能性があるため、治療範囲を調整します。

効果が現れるまで

筋肉の動きを抑える作用は、通常、治療後2~3日頃から現れ始めます。 効果はその後徐々に強くなり、1~2週間程度で安定します。 エラ、肩、ふくらはぎなど、筋肉のボリュームを小さくする目的では、筋肉の働きが弱まった後にボリュームが変化するため、見た目の変化を感じるまでに1~2か月程度かかることがあります。 多汗症では、治療後数日から1~2週間程度で汗の減少を感じることがあります。

効果の持続期間

効果の持続期間は、治療部位、製剤、注入量、筋肉量、代謝、過去の治療回数などによって異なります。 顔の表情筋では3~4か月程度、エラや肩、ふくらはぎなどでは4~6か月程度、多汗症では4~6か月程度が目安です。 時間の経過とともに神経から筋肉や汗腺への伝達が回復し、筋肉の動きや発汗も徐々に戻ります。 効果が完全になくなる前に必ず追加する必要はありません。状態を確認し、必要な時期に再治療を検討します。

注入量について

ボツリヌストキシン製剤の注入量は、治療する部位、筋肉の大きさ、性別、左右差、希望する効果によって決めます。 顔の小さな表情筋には少量を使用し、エラ、肩、ふくらはぎなど大きな筋肉には比較的多くの量が必要です。 同じ部位でも、筋肉量が多い方と少ない方では必要な量が異なります。 注入量が少なすぎると効果が不十分になることがあり、多すぎると必要な筋肉の動きや力まで弱くなる可能性があります。 初回は少量から開始し、効き方を確認して次回の量を調整することがあります。

ダウンタイム・治療後の経過

治療後は、注入部位に赤み、腫れ、痛み、点状出血、内出血が出ることがあります。 赤みや軽い腫れは数時間から数日程度、内出血が出た場合は1~2週間程度で徐々に落ち着きます。 筋肉への作用は治療直後には現れず、数日から1~2週間かけて徐々に現れます。 治療部位によっては、一時的なだるさ、筋肉痛のような違和感、力の入りにくさを感じることがあります。

しわ治療以外にも痩身や発汗抑制に使用

エラ筋肉を小さくする。

ふくらはぎ筋肉を小さくする。

副作用・注意事項

ボツリヌストキシン注射では、注入部位の赤み、腫れ、痛み、内出血、かゆみ、頭痛、だるさなどの可能性があります。
妊娠中、授乳中または妊娠の可能性がある方には治療が行えません。

よくある質問

ボツリヌストキシン注射とはどのような治療ですか?
神経から筋肉や汗腺へ伝わる指令を一時的に抑える注射です。
表情じわ、エラ、肩、ふくらはぎ、多汗症、ガミースマイルなど、さまざまな治療に使用します。
ボトックスとボツリヌストキシンは同じですか?
ボツリヌストキシンは薬剤の成分や治療全体を表す名称です。
ボトックスおよびボトックスビスタは、ボツリヌストキシン製剤の商品名です。
毒素を注射しても大丈夫ですか?
ボツリヌストキシン製剤は、ボツリヌス菌が作るタンパク質を医療用に精製し、決められた量を治療部位へ注入する薬剤です。
診察に基づき、治療目的に合った量を使用します。
効果はすぐに現れますか?
治療直後には大きな変化はありません。
通常は2~3日頃から作用が現れ始め、1~2週間程度で効果が安定します。
効果はどのくらい続きますか?
治療部位によりますが、3~6か月程度が目安です。
時間の経過とともに神経伝達が回復し、筋肉の動きや汗の分泌も徐々に戻ります。
効果がなくなると以前より悪化しますか?
効果が弱くなると、筋肉の動きや発汗が治療前の状態へ徐々に戻ります。
ボツリヌストキシン注射を受けたことによって、治療前より筋肉やしわが悪化するわけではありません。
何回受ければよいですか?
1回でも効果を確認できます。
効果を維持したい場合は、筋肉の動きや発汗が戻ってから再治療を検討します。すべての方が定期的に治療を続ける必要はありません。
繰り返すと効かなくなりますか?
必要以上に短い間隔や多量の治療を繰り返すと、抗体が作られ、効果を感じにくくなる可能性があります。
適切な治療間隔を空け、必要な量で治療することが大切です。
表情が不自然になりませんか?
顔の筋肉へ多く注入すると、表情が作りにくい、眉や口元に左右差が出るなどの可能性があります。
筋肉の動きと左右差を確認し、必要な量を調整します。
ボトックスビスタと韓国製は何が違いますか?
ボトックスビスタは、日本国内で眉間と目尻の表情じわに対して承認された製剤です。
韓国製などの海外製剤は、海外の規制当局で承認されている製品でも、日本国内では未承認医薬品となります。
製造元、国内承認の有無、価格などを確認して選択します。
顔以外にも治療できますか?
エラ、肩、ふくらはぎ、わき、手のひら、足の裏、額、頭部などにも使用します。
治療部位によって必要な注入量や治療方法が異なります。
ヒアルロン酸とは何が違いますか?
ボツリヌストキシン注射は、筋肉の動きを一時的に弱める治療です。
ヒアルロン酸注入は、しわやくぼみへボリュームを補う治療です。
筋肉の収縮による表情じわにはボツリヌストキシン、ボリューム不足によるくぼみにはヒアルロン酸を検討します。
治療後に追加注入できますか?
治療後すぐに追加するのではなく、通常は1~2週間程度経過して効果が安定してから判断します。
追加が必要な場合も、周囲の筋肉とのバランスを確認して注入します。

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